現場ではたらく機械

深礎工法

深礎(しんそ)工法という施工方法があります。

橋台などの構造物を地中でささえる役目をもつ場所打ち杭工法のひとつで、今あるなかではもっとも古いものです。

人力や機械で縦に穴を掘り、鋼製の波板(ライナープレート)などで穴を保護しながら深く掘り進め、決められた支持層まで達したら、坑内に鉄筋を組み立て、コンクリートを流し込んで完成です。

クラムシェル

深礎工法で使われる機械のうち代表的なものがテレスコピック式クラムシェルです。パイプクラムとも呼びます。

大きな直径で深い穴を狭い場所で掘り進めなければならないので、ふつうの油圧ショベルなどではその役目が果たせません。

そこで、油圧ショベルをベースマシンにして、伸び縮みするアーム(テレスコピック)の先にクラムシェルバケットをつけたものが主に使われています。

クラムシェルバケットとはこんなものです。



写真のように開いたバケットを落下させ、地面へ着いたら閉じることによって土砂をつかみます。

そう、UFOキャッチャーのイメージですね。

テレスコピック

ではテレスコピックとはどんなものでしょうか?

望遠鏡を伸ばすと見ている風景が拡大しますよね。あれを英語でテレスコーピングと呼びます。

テレスコピックとはそこからつくられた言葉で、望遠鏡のように、大きさの異なる筒を組み合わせたものを伸び縮みさせて長さを変えることができる仕組みのことです。

建設機械でいえばクレーン、身近なものでいえば伸縮式のアンテナや振出式の釣りざお、学校の先生が持っている指し棒などがテレスコピックですね。

もともとクラムシェルという重機は、クローラークレーンのワイヤーロープの先端にクラムシェルを取り付けたものですが、あれだとバケットの操作がアバウトなものにしかなりません。

ところがそれをテレスコピック式にすると、バケットの位置決めが正確になり、バケットを土に押しつけることができるので、一度にたくさんの土砂をつかむことができます。また、ベースとなっているのが油圧ショベルなので、旋回性能がすぐれており、バケットの振れが少ないので動作がスピーディーという長所もあります。

おっと、ついつい文章だけの説明がつづいてしまいました。これではちょっとわかりずらいですね。

では、礒部組の現場で活躍してきたパイプクラム(テレスコピック式クラムシェル)の実際の姿をお目にかけましょう。施工にあたってくれているのは、すべて深礎工法のプロフェッショナル、北陵工業株式会社さんです。

パイプクラム



写真を見てもらうとわかるように、運転席が前へせり出せるようになっています。

これはスライドキャブといって、油圧シリンダによって運転席(キャブ)が前方にスライドすることによって、オペレーターが掘っている穴をのぞきこむことができるようになっています。

つかんで掘り上げ、深い穴を掘るマシン。

テレスコピック式クラムシェル。

またの名をパイプクラム。

ふつうの人は見ることができない場所で、今日も人知れず活躍するスゴいマシンです。

参考図書:『トコトンやさしい建設機械の本』(宮入賢一郎、日刊工業新聞社)

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