現場ではたらく機械

無限軌道

「鬼が出没する」

との情報を受け、かまぼこ隊と煉獄杏寿郎が乗り込むのが無限列車。

みんな大好き『鬼滅の刃』に登場する列車です。

(わたしはただの一度も見たことありませんが^^;)

といっても、本日のお題「無限軌道」とは「無限」つながりというだけで、他になんの関係もありません。

じゃあ無限軌道って一体なんなんだ?

聞き覚えのない名前だという方も多いでしょう。

では実物をお見せしますね。



油圧ショベルの本体から切り離され、独り取り残されてさびしそうなクローラー。

そう。無限軌道とはクローラーのことなんです。

キャタピラーは会社の名前

クローラーと言っても一般の方には馴染みのない響きでしょうか。

では、キャタピラーならどうでしょう。

はい。みんな知ってますよね。

無限列車、もとい、無限軌道とは、別名をクローラー、履帯(りたい)、トラックベルト。いわゆるキャタピラーのことです。

キャタピラーというのはユンボやユニックなどと同じように商品名で、1904年に設立されたアメリカの企業ホルト社が農耕用トラクタの走行装置として使われたのが商品化のはじめ。その後、別の会社と合併してできたのがキャタピラー社だったことによります。

さて、クローラーはどのような仕組みで動くのでしょうか?まず、クローラーを構成する部品について説明しましょう。


連結部品「リンク」に履板「シュー」を取りつけ、パイプ状になった「ブッシュ」を通した「ピン」で連結すると輪のような形になり、これでクローラーベルトのできあがりです。

エンジンからの回転力を伝えるのは、歯車のような形をしたスプロケットです。これは、自転車のチェーンなんかと同じ伝達システムですから皆さんおなじみですよね。


スプロケットの歯車が、クローラーのブッシュと噛み合って動力を伝えるのです。

王蟲?

建設機械の足回りシステムの基本としてクローラーが採用されているのには理由があります。

クローラーは、地面の凸凹にしたがってうねうねと動くので、地面と接する長さ(接地長)を多く確保できます。

すると、接地長×シュー幅=接地面積が広くなり、タイヤに比べると大幅に接地圧を小さくでき機体の重量が分散されるので、柔らかい地面などでも走行できるようになるんです。

その特徴を活かして、湿地用や超湿地用など用途や地盤に応じたさまざまなクローラーがあります。

建設機械が作業するのは、整地されてない場所がほとんどなので、クローラーは欠かすことのできないシステムなんですね。

ところで、キャタピラー(カタピラ)って英語でなにをあらわすか知ってますか?

じつは、芋虫なんです。そういえば、この画像なんか、まさにそんな感じ。


今にも動きそうです。

この画像を見て、

「『風の谷のナウシカ』に出てくる王蟲(オームみたい)」

って言った人がいました。

う~ん・・・

だったらコッチの方が近いかも。

CAT社製超湿地ブルドーザー



意外と宮崎駿監督は超湿地ブルドーザーをイメージして王蟲というキャラクターをつくったのかもしれませんね(笑)

以上、今回の主役は無限軌道ことクローラー。

今では建設機械をはじめとして戦車などにも欠かすことができないこのクローラーというメカニズムが、もともとはトラクター、つまり農耕用から出発しているという歴史に興味をひかれ、『トラクターの世界史』(藤原辰史、中公新書)という本を買って読んでしまったわたしなのでした。

(みやうち)

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