現場ノート



のどかな山あいの田んぼでトラクターのあとを追う人の群れ

ほ場整備の最終段階

戻した表土を耕すあとから石を拾う人たちです。

業界筋ではこれをシラサギと呼びます。

と聞いてピンと来るのは田舎出身もしくは現に田舎に暮らしている人でしょう。

シラサギ

文字どおり白い鷺(さぎ)

こうやってトラクターが田んぼや畑を耕し始めると

土の中にいるミミズなんかも地上に出てきて

それをいち早く察知したシラサギが

どこからかツーとあらわれ

ルっと舞い降り餌をついばむ。

(あ、そりゃツルか^^;)




その風景をもじって

誰が呼んだか名づけたか

いつしかこの石拾い部隊をシラサギと呼ぶようになったそうです。

本家シラサギは

トラクターが掘り起こした土の中からミミズをついばみますが

このシラサギたちがついばむのは

もちろんミミズなんかには目もくれず

一心不乱に石をついばみます。

真っ白な羽のかわりに蛍光イエローの安全ベストを身にまとい

クチバシのかわりに手袋をはめた手で石を拾いあつめるこの人の群れ

見た目は本家のような優雅さには欠けるけれど

このシラサギたちがとおったあとは見事な田んぼができあがります。


ある短歌が思い浮かびました。


白鳥は哀しからずや 空の青海のあをにも染まずただよふ


牧水です。

白鳥は悲しくないのだろうか。空の青にも海の青にも染まることなくただ漂っている。

というような意味でしょう。

ここから感じ取られるのは孤独、哀愁、寂寥感・・・

中学生ぐらいのころからぼくの大好きな短歌です。

そこで一つひねってみることにしました。

ということで

うんうんうなって出てきたのがコレ。


シラサギは頼もしからずや 土に立ち 豊作願い石を拾いぬ


パクリ?

いえいえパロディー

いわゆる本歌取りです。

現場のシラサギたちはけっして悲しくもなければ孤独でもありません。

これからここで柚子栽培や米づくりをする農家さんのために

チーム一丸となってうつむきながら大地を歩いてゆきます。

だからどうかお願い

ほ場整備工事現場でトラクターのうしろを歩くヘルメット姿の群れを見かけたら

「お、がんばってるな!」

と心のなかでエールを送ってあげてくださいな。

でわ。

(みやうち)

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