現場ノート



据付けられた大きなプレキャスト排水路の底部分に

さらにコンクリートを打ち増しました。

近づいてみましょう。



これ

なんだかわかりますか?

なぜこんな手間がかかることをしているんでしょうか?

じつはこれ浮力対策

つまり水路が浮き上がるのを防ぐためなんです。

って言っても




コンクリートでできた大きな水路が浮き上がる

ってフツーは信じられませんよね。

でもね起こるらしいんです。

もともと農地の土壌っていうのは

土の粒が細かく排水性がわるいことが多いんですよね

だから

短い時間に集中して大雨が降ったときなんかは

水路の裏の地下水位が上昇して

水路の内側との水面高さに差(水頭差って呼びます)が生まれることによって

コンクリート水路が浮き上がることがあるそうです。

その対策のひとつがこの底版へのコンクリート打ち増し。

つまり

フーチング(基礎)を取り付けることで浮き上がりに対して抵抗する力を高めてやる

という方法です。

それともうひとつ。

浮力対策のために

この製品にあらかじめ付けられているモノがあります。




青丸で囲んだところに取り付けられているのがそれ。

断面図を見てみましょう。

ウィープホールっていう排水穴です。

画像出典:けんせつPlaza



上が表(水路内)側です。

ふたがついていますよね。

逆止弁です。

水路背面の地下水位が上がるとウィープホールに水が入り弁が開放され

裏側の水が水路のなかに吐き出されます。

こんなイメージですね。


画像出典:けんせつPlaza




内側の水位が高いときは弁があるので

背面に水が流れ込むことはありません。


画像出典:けんせつPlaza



こんなふうに地下水が緩和されます。


画像出典:けんせつPlaza



水路の浮き上がり防止対策にはこの他に

アンダードレーン

(水路底の下に排水材を敷いて排水機能を高める)

を設置するなどの方法がありますが

どのような対策をとるか

また

そもそも浮力対策が必要なのかどうかは

土質の条件や地下水位などを考慮して浮力検討を行って判断

現場の条件や水路の形に応じて決定します。

っていうのは

知識としてはしっかり脳内にたくわえられているんですが

こんなのを見ると思うんですよね。




これが浮く?

いやいや

浮く(ことがある)んですよね。

じっさいぼくもかつて台風の大雨で

施工中だった現場打ち水路が浮き上がる

という体験をしたことがあります。

だから浮力対策をきちっと行う

これ

農業土木の基本。

ということで本日は排水路の浮力対策の話。

たまにはマジメな話題も提供するおじさんなのでした。

(みやうち)

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