現場ノート



瀬戸ヶ谷川砂防メンテナンス工事現場で

古い石積の基礎をハッケン

木製です。

丸太です。

という先週末の現場報告を見て

「へーめずらしいな」

と思った社員が検索してみたそうです。

トップでヒットしたのが当ブログ。

2016年2月の記事だったようです。

→『取り壊しをする石積みの基礎に丸太が使われておりました(..)

そこでは

8年半前のぼくがこんなことを書いておりました。

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地元の人に聞き取りすると昭和30年ぐらいにつくったものらしいのですが、当時は普通の工法だったのでしょうか。興味津々です。

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チッチッチッ

オマエそんなことも知らないのかよ。

ということで

昔の自分に教えてあげることにしました。

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石積には大体土台木を使うが、これは石積の高低や地盤の硬軟、地下水等によりその使用する材料が技術的に決まる。

地盤が軟らかい所には杭打をして、その上に梯子土台木を据えたり、又地盤の比較的硬い所には1本土台木を入れ前に止杭を打ち根井氏を据える準備をする。

(『石積の秘法とその解説』大久保森造・大久保森一共著、理工図書、P.178)

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同書には、上の解説に次のような図が添えられています。



この伝説の名著『石積の秘法とその解説』は昭和33年に初版が発行されていますから、その当時、またそれ以前は木製基礎がスタンダードだったことがわかります。

しかし、

時は昭和元禄

高度成長期まっさかり

日本全国が刻一刻と様変わりしていくなか

土木工法もおおきく変化していきました。

それをあらわすように、それから11年後の昭和44年に同じ著者によって書かれた『”続”石積の秘法とその解説』には、「石積の基礎として、最近はコンクリート基礎が最も多く用いられている」という記述があります。

このころには既に、石積の基礎がコンクリートに替わっていたのがわかります。

ただ、こんなふうにも書かれています。

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基礎が常時水中にある場合は、1本土台・梯子土台等の生丸太を用いるのが経済的である。

(『”続”石積の秘法とその解説』P.103)

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あらためて依頼品を見てみましょう。

じゃなかった

2016年に見つけた丸太基礎を見てみます。

奈半利川の護岸です。



そして

今回の石積はといえば




奈半利川水系小河川支流瀬戸ヶ谷川に設けられた

砂防えん堤の側壁です。

両者ともその基礎は常時水中にありますね。


温故知新

故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る。

ICT全盛

さらなるデジタル化へと爆進中のわが業界ですが

古いものから道理を学び

新たな知識として自分の仕事に活かす

これ

ムチャクチャ大事です。

なんでもかんでも

デジタルならばそれでよし

というのはぜったいマチガイだし

また

新しければ新しいほど価値がある

というのもちがいます。

肝心なのは

先端技術と古い技術

デジタルとアナログ

それをハイブリッドさせて使えるかどうか

これからはさらに

それが現場の技術者や技能者あるいは職人である

ぼくたちに求められていると思うのですが

いかが?

(みやうち)

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