ユンボ?
ねえねえアレってなに?
ちいさな子どもが指差す先には・・・
ってまあ、コレはあんまりデカすぎるにしても・・
さて、その質問にアナタだったらどう答えるでしょうか?
え?オマエはどうなんだ?
あ、そうですね。ではまずわたしから。
わたしの回答は
ユンボ
ですね。
え?ショベルカーじゃないの?バックホウとかパワーショベルっていう呼び方はまちがいなの?
そうですよね。じつはそれらは全部おなじものです。
では、どうして色んな呼び名ができたのでしょうか?
代表的なのはやはり、ユンボでしょう。
ユンボというのは、フランスのユンボ社(元はシカム社という名前だったようです)がつくった油圧ショベルのことです。
日本では、昭和30年代後半頃にフランスの会社と提携した三菱重工業がつくって売り出すと、その性能のよさにみんながビックリ。
「ありゃなんちゅう名前?」
「あぁあれか、ありゃぁユンボよ」
という感じのやり取りがあったかなかったか。そこのところはよくわからないんですが、とにもかくにも、世は昭和の高度経済成長期まっただ中、折からの公共土木事業の拡大にともなって、ユンボという商品名が油圧ショベルの代名詞となって、またたくまに全国に広がり、今に至っています(ちなみに今は「レンタルのニッケン」の登録商品です)。
同じように、パワーショベルというのも商品名です。これをつくったのは「世界のコマツ」。
自社の油圧ショベルをパワーショベルと名づけたことから、その呼び方が広まりました。
子どもの絵本とかにも、この名前でのっていることがありますね。ひょっとしたら今はユンボより一般的なのかもしれません。
あ、そうそう。絵本といえば、圧倒的に多い呼び名がショベルカー。
プロであるわたしからすれば、基本的にはキャタピラで動くこの重機に「カー」という呼び名をつけるのは違和感があるんですが、やはり一般的な通称としてはショベルカーだと言ってさしつかえないでしょう。
バックにホウ?
では、業界的な正式名称は何か?
バックホウです。
バックにホウ?
バックがホウ?
バックとホウ?
かんたんに説明しますね。
バックは皆さんご存知のback。後ろです。これは誰でもわかりますね。
問題は次の言葉。ホウ。
ホウはhoe 。
土を掘る鍬(くわ)のことですね。
バックにホウするからバックホウ。
諸説ありますが、今日は代表的な説だけを紹介します。
人間がショベルを使って土を掘る形にもとづくもの、というのがそれです。
手のひらをイメージしてみてください。
その手のひらがショベルです。
ショベルで土をすくう動作は、手のひらを上向きにして前に押し出し上に持ち上げますね。
次にバックホウが動いているのを思い浮かべてください。
バックホウの土をすくう部分をバケットと呼びます。「手のひら=バケット」だとすると、バックホウは「バケット=手のひら」を下向きにして、爪を立ててコチラ向けに掘りますよね。前(フロント)に押し出すのとは逆方向です。
つまり、バック(後ろ)に向かってホウ(鍬)を操作するからバックホウ。
これがわたしが聞いた中ではイチバン有力そうな説です。
じつは QR コードも・・
そうそう。ここらあたり(高知県安芸地方)では、昔はみんなユンボって呼んでました。
ところがある頃から、「どうもユンボゆうがは正式名称じゃないらしいぞ」ということになったんですね。
だから今では、ユンボっていう人は少なくなりました(わたしは未だにユンボですけどね)。
建設業では同じような例がよくあって、その代表的なものがユニック。
あれは、ユニック社の車両搭載型クレーンの商品名が広がったことによってそうなっただけで、正式名称ではありません(今でもまだほとんどの人がユニックと呼んでいますけど)。
ちなみにこの、草分け的な立場にあってイチバン有名な商品の名前が、そのもの自体をあらわす一般名称になってしまうという例は、重機だけでなく、そこらへんのどこにでも転がっていますよね。
え?具体例をあげろ?
じゃあいきますよ・・
ウォシュレット
デジカメ
宅急便
QRコード
などなど・・・・
少し調べただけで、「え?あれもそうなの?」という例がたくさん出てきます。
けっこうおもしろいですから、お暇な方はぜひ。
ということで、「現場ではたらく機械」記念すべき第一回目はユンボ、いやバックホウの巻。
これからぼちぼち更新していきますので乞うご期待!
ちなみに・・
最初に使用した画像は北海道三笠市にある砂子組さんの露天掘り炭鉱を見学した際に現場ではたらいていた巨大バックホウ。
その大きさに、ただただ圧倒されるばかりのおじさんなのでした。
(みやうち)